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海外のしつけ事情
シンガポールの犬事情

これまでこのコーナーでは主にアメリカやイギリス、フランスなど、ペット先進国における犬事情をご紹介してきましたが、今回は初めてアジアのお話。

緑豊かなガーデンシティ、複合民族国家、ASEANの優等生など様々な顔を持つシンガポール。
日本の淡路島ほどの小さなこの国で、ペットとしての犬の地位が確立されたのはつい最近のことです。
 
特にここ数年は爆発的なペットブームといわれていますが、シンガポール人の大半が暮らすHDBと呼ばれる公団には、「体重10kg未満、背の高さが40cm未満の犬しか飼うことができない」という規制があり、国内で飼われている犬のほとんどがトイプードルやシーズー、チワワなどの小型犬です。
(反対に民間のコンドミニアムには犬の大きさに関する規制がないため、シンガポールでは大型犬を飼うことがお金持ちのステータスといわれているそう?)
 
ゴミやタバコのポイ捨て禁止など厳しい法律と罰金で有名なシンガポールですが、犬についても様々な法律があります。
 
たとえば、犬を捨てたり、勝手に手放したりすると、最高S$1万(日本円で75万円程度)の罰金または最高1年の懲役。また犬を飼うにもライセンスが必要で、2007年に改正された法律ではオスS$14.00(1.050円程度)・メスS$70.00(5.250円程度)・去勢済のオス避妊済みのメスS$14.00(1.050円程度)の登録料がかかります。
 
法律を強化したり、罰金制度を設けることで、安易な気持ちで犬を飼うことを抑制し、ひいては不幸な犬や無責任な飼い主を減らすきっかけになるのでは?と思いきや、実は意外な落とし穴がありました。
 
と、いうのも、去勢避妊手術の有無で登録料が違うので、「手術するにはお金がかかるし、しなければS$70.00だし…」という無責任な飼い主たちによって、法律改正後に捨てられる犬が急増してしまったというのです。実際にSPCA(動物愛護団体)に持ち込まれる犬の数も増加していて、動物愛護の精神から発足した法律であるにも関わらず、1番弱い動物たちへひずみがきてしまうとは、なんとも悲しい話です。
 
他にもマレー系の人たちが信仰しているイスラム教では犬は不浄の動物とされているので、散歩の場所に注意する必要があったり、また中国系の人たちの間では「戌年に犬を飼うのは縁起がいい」とされていて、12年に1度ちょっとしたペットブームが起こるなど、多民族・多宗教国家ならではの犬事情をうかがうことができます。
 
同じ「犬」という動物でありながら、それぞれの国や風習、国民性の違いなどを背景に、その土地ならではの文化があるところが興味深いですよね。今後も犬を通した様々な比較文化論をレポートしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!